第35回日本トレーニング科学会大会
開催にあたって

会長挨拶

日本トレーニング科学会 会長
須永 美歌子(日本体育大学)

 この度、第35回日本トレーニング科学会大会がハイパフォーマンススポーツセンター・国立スポーツ科学センターを会場に開催されますことを大変喜ばしく思います。それにともない、学会準備にご尽力いただきました中村真理子会頭、山下大地実行委員長、ならびに関係各位に対しまして、心より感謝申し上げます。 

 本学会は,1988年10月、「トレーニング科学研究会」の名称で発足され、その原点は、選手、コーチ、学校の教員、研究者などが一同に会し、スポーツ現場における様々な問題について意見を交わした「トレーニングカンファレンス」から始まっています。健康・体力づくりの運動/スポーツからエリート競技スポーツに至るあらゆるスポーツ現場における種々のトレーニング法やその効果に関する具体例を集積しながら、それぞれの専門家が意見を交換する場を提供し、新たなトレーニング方法の開発に寄与することを志としてきました。このトレーニング科学に対する思いは我々の原点であり、目指すべきゴールとして今も変わらずに引き継がれています。 

 今学会大会は、「ハイパフォーマンススポーツを支えるトレーニング科学」をメインテーマに掲げています。会場となるハイパフォーマンススポーツセンターは、オリンピック・パラリンピックでの活躍を目指すトップアスリートがトレーニングを行うとともに、様々なサポートを受けられる日本の国際競技力強化の中核拠点です。また、国立スポーツ科学センターでは、生理学、心理学、バイオメカニクス等を含む様々な分野の研究を推進し、トップレベル競技者の体力、運動能力、技術の測定等を通じて競技力向上のサポートを行っています。まさに日本におけるトレーニング科学研究の最先端を担っている組織のひとつであり、このような場所において第35回大会を開催できることは学会としましても大変嬉しく思います。会員の皆様の活発な意見交換や議論が進み、有意義な学会大会になることを祈念いたします。

末筆となりましたが、学会大会の開催にあたりまして、多大なご支援・ご賛助を賜りました多くの関係者、団体、企業の皆様に心より御礼申し上げます。

センター長挨拶

ハイパフォーマンススポーツセンター国立スポーツ科学センター センター長 
久木留 毅(国立スポーツ科学センター) 

 第35回日本トレーニング科学会大会の開催にあたり、共催者を代表して一言ご挨拶申し上げます。1988年10月前身であったトレーニング科学研究会は、競技現場に関わる様々な人々が情報を共有し意見交換をする場として発足したと理解しております。その学会大会を、20年振りにハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)・国立スポーツ科学センター(JISS)にて開催して頂くことに感謝申し上げます。

 近年のハイパフォーマンススポーツでの戦いは、高速化と高度化が益々進み僅かな差を生み出すためにスポーツ医・科学、情報面からの支援が必須となっています。その中で日本代表チームに求められる科学的な支援は年々高水準となり、エビデンスベーストであることは言うまでもありません。

 JISSは設立当初から「支援と研究」を両輪として競技現場に携わってきました。近年では東京2020大会や北京2022大会等、多くの国際競技大会で得た支援の知見や課題を研究という形で世に示していくこともJISSの大切な役割の一つとして推進しています。2020年よりJISSでは、10名の外部アドバイザーの意見も頂き、ハイパフォーマンススポーツ研究の定義を「世界一を競い合うレベルのアスリートが発揮する卓越したパフォーマンスに関する研究」としています。

 以上の点からも、今学会大会のテーマが「ハイパフォーマンススポーツを支えるトレーニング科学」である点は、興味深く意義があると考えます。シンポジウムでは、最先端で活躍するアスリート、コーチ、科学者による、それぞれの視点を交えての議論により参加者の方々に素晴らしい情報提供をして頂けると思います。

 また、学会員の中にはハイパフォーマンススポーツに限らず健康・体力づくりの運動、スポーツに携わっておられる方も多いと聞いています。HPSCではハイパフォーマンススポーツで得た知見を広く社会に還元していくことも視野に入れ、「ハイパフォーマンススポーツからライフパフォーマンスへ」を軸に具体的な取り組みも実施しています。これらの情報についても、JISSの研究員からその一端が提供されることでしょう。

 最後になりましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生から約3年が経過し社会は大きく変わりました。その中で開催される日本トレーニング科学会の第35回学会大会が成功裏に無事終了しますことを期待し、挨拶とさせて頂きます。

会頭挨拶

第35回日本トレーニング科学会大会 会頭 
中村 真理子(国立スポーツ科学センター) 

 この度、第35回日本トレーニング科学会大会を、ハイパフォーマンススポーツセンター国立スポーツ科学センターを主管として2022年12月3日(土)・4日(日)の会期で開催させていただくことになりました。学会長始め学会員及び関係者の皆様のご理解とご支援のもと開催できますことに、大会頭として心から感謝申し上げます。 

 3大会ぶりに対面での開催を楽しみにしておりましたが、本大会では新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、弊センターの感染症対策マニュアルに則りまして、対面(人数制限あり)とオンラインの併用によるハイブリッド型での開催とさせていただきます。 

 本大会は「ハイパフォーマンススポーツを支えるトレーニング科学」をテーマといたしました。競技現場における科学の活用は必要不可欠です。2021年度は東京オリンピック・パラリンピック競技大会、北京オリンピック・パラリンピック冬季競技大会が開催され、多くのアスリートが活躍され、好成績を収められました。その背景にはトレーニング科学の活用がありました。ハイパフォーマンススポーツセンター国立スポーツ科学センターにおいても、スポーツ医学、生理・生化学、バイオメカニクス、トレーニング、心理、栄養、映像情報などそれぞれの専門家が科学的根拠に基づきアスリートを支援することに尽力しています。競技現場における課題解決のためには、アスリートをはじめコーチやチームスタッフと科学者が連携し、研究と実践・支援の好循環を生み出す体制を構築していくことが重要です。本大会では、第一線で活躍されるアスリート、コーチ、科学者が一つのテーマについて議論する機会を設け、新たな気づきを得るとともに、研究と実践・支援の好循環を促進する機会になればと思います。 

 また、ハイパフォーマンス研究で得られる知見は、エリートアスリートだけでなく、健康・体力づくりの運動、スポーツにも活用できるものが多くあります。本大会がハイパフォーマンスに留まらず、あらゆる運動やスポーツの実施現場におけるトレーニングに関する情報の集積と、指導者や研究者など専門家の意見交換の場を共有する場になりますことを期待しております。たくさんの方々のご参加と発表を心よりお待ち申し上げます。 

実行委員長挨拶

第35回日本トレーニング科学会大会 実行委員長
山下 大地(国立スポーツ科学センター) 

 ハイパフォーマンススポーツセンター国立スポーツ科学センターにおける日本トレーニング学会大会は、2002年の第14回大会以来、20年ぶりの開催となります。ハイパフォーマンススポーツセンターは、2016年より国立スポーツ科学センター(JISS)と味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)の機能を包括的に収める組織として位置づけられています。また2019年には、オリンピック・パラリンピック一体の象徴としてナショナルトレーニングセンター・イースト棟が拡充されました。このような日本のトップアスリートの強化拠点において、トレーニング科学に関する活発な意見交換ができることを楽しみにしております。 

 本学会大会では,「ハイパフォーマンススポーツを支えるトレーニング科学」をテーマとしました。競技力向上はもちろんのこと、トップアスリートへの支援や研究の成果をどのように社会に還元していくかについて考えることのできる学会大会にしたいと考えております。 

 本学会大会は新型コロナウイルス感染拡大の情勢を鑑み、対面(人数制限あり)とオンラインのハイブリッド開催で準備しております。感染状況等により、オンライン形式のみの開催となる可能性がありますことをご了承ください。また残念ながら、日本トレーニング科学会の起源でもあり、最も重要なコミュニケーションの場といっても過言ではないビール会はありませんが、施設見学等、ハイパフォーマンススポーツセンターならではの企画を予定しております。全国より多数のご参加を心よりお待ち申し上げております。